ドイツ旅行の薬の持ち込みルール|薬剤師が詳しく解説

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ドイツへの医薬品・処方薬の持ち込みルール完全ガイド

ドイツへの渡航を計画されている方へ。日本で処方された医薬品や市販薬をドイツに持ち込む際には、ドイツの厳格な医薬品規制に従う必要があります。うっかり規則違反をすると、空港で没収されたり、最悪の場合は罰金に課せられることもあります。本記事では、薬剤師の視点から、ドイツへの医薬品持ち込み時に必要な知識と手続きを解説します。

ドイツの医薬品持ち込みルールの基本原則

ドイツはEU加盟国であり、医薬品の持ち込みについてはEU規制とドイツ独自の法律の両方が適用されます。最も重要な原則は以下の通りです。

個人使用目的の医薬品は原則持ち込み可能ですが、以下の条件をすべて満たす必要があります:

  • 処方箋の医薬品は処方箋を携帯していること
  • 市販薬は常識的な範囲内の量(通常3ヶ月分まで)
  • ドイツで禁止成分を含まないこと
  • 医療専門家による治療の一環であること

薬剤師メモ ドイツのBfArM(医薬品・医療用具研究所)は、EU内で最も厳格な医薬品管理機関の一つです。日本で合法的な医薬品でも、ドイツで未認可や禁止の場合、持ち込みできません。事前にドイツ在来日本国大使館のウェブサイトで最新情報を確認することを強く推奨します。

持ち込みが可能な医薬品と必要書類

処方薬の持ち込み条件

処方薬をドイツへ持ち込む際は、医師による処方箋が必須です。

医薬品の種類 持ち込み可否 必要書類 備考
高血圧治療薬(アムロジピン、ロサルタンなど) ✅ 可能 処方箋 + 医師の英文説明状 3ヶ月分程度まで推奨
糖尿病治療薬(メトホルミン、グリベンクラミド) ✅ 可能 処方箋 + 医師の英文説明状 インスリンは要冷蔵対応の相談
甲状腺疾患治療薬(レボチロキシン) ✅ 可能 処方箋 比較的問題なし
抗うつ薬(SSRIなど:セルトラリン、パロキセチン) ⚠️ 要確認 処方箋 + 医師の英文説明状 渡航期間が6ヶ月超の場合はドイツでの処方を推奨
ベンゾジアゼピン系(ジアゼパム、ロラゼパム) ⚠️ 要確認 処方箋 + 医師の英文説明状 + 診断書 ドイツでも規制あり。持ち込みは3ヶ月分程度まで

必須手続き:

  1. 日本の処方医から英文の説明状を取得
    医師に「ドイツへの持ち込みのため」と伝え、以下を記載してもらいます:

    • 医薬品名(一般名・商品名の両方)
    • 用量・用法
    • 治療対象疾患
    • 渡航期間
    • "For personal use only"の一文
  2. 処方箋のコピーを携帯
    英文処方箋があればベストですが、英文の医師署名入り説明状があれば代用可能です。

  3. 医薬品の外箱・ラベルは保持
    医薬品は元の容器に入れ、ドイツ語・英語のラベルが見えるようにしてください。

薬剤師メモ ドイツの医療制度では、処方薬の多くが日本より安価です。3ヶ月以上の滞在予定の場合は、ドイツで医師の診察を受けて現地で処方を受ける方が効率的です。ドイツの医師は、EU内の医療記録を参照でき、診療が比較的スムーズです。

市販薬の持ち込み

市販薬は処方箋不要ですが、種類と量に制限があります。

医薬品カテゴリー 具体例 持ち込み可能量 ドイツでの入手難度
総合感冒薬 ルル、ベンザブロック、コンタック 3箱程度 ⭐ 簡単(ドラッグストアで購入可)
解熱鎮痛薬 ロキソニンS、バファリン 30日分程度 ⭐ 簡単(イブプロフェン市販)
胃薬 ガスター10、キャベジン、オーラルG 3ヶ月分 ⭐ 簡単
下痢止め ビオフェルミン、正露丸 1本/箱 ⭐ 簡単
目薬 サンテFX、スマイル 数本 ⭐ 簡単
湿布・塁膏 モーラステープ、ロイヒ膏 数枚 ⭐ 簡単
便秘薬 センノシド(プリズマコール)を含む ⚠️ 要注意 下記参照

市販薬の持ち込みチェックリスト:

  • ✅ 医薬品は元の容器・箱に入れたまま持ち込む
  • 日本語ラベルのままでOK(ドイツ税関職員も理解)
  • ✅ 錠剤・カプセルは瓶や袋のまま、ピルケースに詰め替えない
  • ✅ 用量・用法を記した説明書があれば携帯
  • 処方箋医薬品を市販薬と偽装しない(税関で発見されます)

ドイツで持ち込み禁止・要注意の医薬品成分

ドイツ医薬品法(Arzneimittelgesetz, AMG)により、以下の成分を含む医薬品は個人持ち込みが禁止または厳格に制限されています。

完全禁止成分

成分・医薬品 理由 日本での該当製品例
麻黄(エフェドリン) 違法ドラッグとの懸念 葛根湯、麻黄湯、小青龍湯
コデイン(市販咳止め) 乱用防止 市販咳止めシロップの一部
プソイドエフェドリン 覚醒剤類似 一部の鼻炎薬
人工麝香/ムスク 環境汚染懸念 一部の香水・医薬部外品

要注意成分(医師の処方箋があれば可)

成分・医薬品 ドイツでの規制状況 対策
ベンゾジアゼピン系(ジアゼパム、ロラゼパムなど) Schedule IV規制 処方箋 + 医師の英文説明状が必須
バルビツール酸塩 処方制限あり ドイツでの処方難度が高い
強オピオイド(モルヒネ含有薬) 処方箋+特殊許可必要 事前に在ドイツ日本国大使館へ相談
レジメン制がん剤 処方箋 + 詳細な医師説明状必須 長期滞在の場合はドイツの医師に引き継ぎ

薬剤師メモ 麻黄含有製品の持ち込みは特に注意です。葛根湯などの漢方薬でも、ドイツではエフェドリン含有として没収される可能性があります。漢方薬は「自然由来=安全」ではなく、化学成分で判断されます。事前確認が必須です。

具体的な持ち込み手続きのステップ

出発1ヶ月前に実施すべきこと

ステップ1:医薬品リストの作成

【例】
- アムロジピン5mg:1日1回、1ヶ月分(30錠)
- ロキソニン60mg:必要時、1回1-2錠(10錠)
- 目薬:1日3-4回(1本)

ステップ2:医師への相談

  • 日本の主治医に「ドイツに○ヶ月間滞在する」旨を伝える
  • 英文の処方箋・医師説明状の取得を依頼
  • 費用は通常2,000〜5,000円程度

ステップ3:ドイツ在来日本国大使館への事前確認

  • ベルリン大使館:https://www.de.emb-japan.go.jp/
  • 不明な医薬品は具体的な医薬品名(INN/一般名)で問い合わせ
  • 返答に1〜2週間要するため、余裕を持って連絡

ステップ4:医薬品の準備

  • すべての医薬品を元の容器・ラベル付きで用意
  • 処方箋・医師説明状を別紙として持ち込む(医薬品と同じバッグに)
  • 英文説明状のコピーを2部用意(1部は税関用、1部は保管用)

税関申告書の記入方法

ドイツ入国時、税関申告書の記入が必要な場合があります。

「Goods to declare(申告あり)」を選択し、以下を記載:

  • "Personal medication for personal use during my stay"
  • 医薬品の一般名・用量・数量
  • "Accompanied by medical prescription and doctor's certification letter"

薬剤師メモ 近年、多くの空港では電子ゲートが導入されており、少量の市販薬であれば申告不要の場合もあります。ただし、不安な場合は必ず申告してください。隠して持ち込み、発見されると罪に問われる可能性があります。

ドイツ到着後の医療機関・薬局の利用方法

ドイツでの処方箋入手

ドイツに3ヶ月以上滞在する場合、ドイツの医師の診察を受けることを強く推奨します。

医師の探し方:

  1. Kassenärztliche Vereinigung(公式医師紹介)
    各州の医師紹介ウェブサイト(例:KV Berlin)で検索可能
  2. 国際患者向け診療所
    ベルリン:International Medical Service / Charité
    ミュンヘン:International Clinic

ドイツの医師診察に必要な書類:

  • パスポート + ビザ
  • 日本の医師からの医療記録・診断書(英文翻訳)
  • 健康保険証(旅行保険の場合はポリシー)

ドイツの薬局(Apotheke)での医薬品購入

ドイツの薬局は街のいたるところにあり、多くが処方箋医薬品を扱います。

項目 詳細
営業時間 平日8:00-18:30、土曜8:00-13:00(日曜休業)
処方箋要否 処方箋医薬品は必須
価格 日本より安い場合が多い(例:アムロジピン1ヶ月分€5-10)
言語対応 英語対応は都市部で一般的
配送サービス 「Apotheke am...」と名がつく店舗はオンライン配送あり

ドイツの薬局での便利な表現:

  • "I need a prescription refill for..." (処方箋の詰め替えが必要です)
  • "Do you have an English-speaking pharmacist?" (英語対応者はいますか?)
  • "Can I get this without a prescription?" (処方箋なしで購入できますか?)

薬剤師メモ ドイツの調剤薬局(Offizin-Apotheke)は、医薬品のセルフサービスがなく、すべて薬剤師の対面販売です。これは患者安全の観点から高い水準を保つためです。質問があれば、

免責事項:本記事は渡航者向けの医薬品情報提供を目的とした薬剤師監修コンテンツです。 診断・治療に関する判断は医師の診察を受けた上で行ってください。 最新の規制・感染症情報は外務省・厚生労働省・現地大使館の公式情報を必ずご確認ください。

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